海城中学校の学校説明会
平成26年10月14日
海城中学校学校説明会
司会:本間教諭(国語科)
・これまでの日程
4~9月 学校教育の概要(総論)
10月 主に6年を対象に入試説明(水田校長)
中高一貫校への改革
3年前に中高一貫校にしたため高校入試を停止し、9クラスから7クラスに減った。
今年度4年目に入り、入学生の質の向上を感じている。
8時登校で8時20分始業、朝の20分間を生徒たちは有効に活用している。
100人生徒が減ったため、早慶の合格者は減ったものの、国公立は改革前の数をほぼ維持している。
現在も中高一貫校にする準備を授業の中で行っているため、
現在の高校3年生以降は実績を回復できる見込みがある。
1991年の創立百周年を機に二十数年間、二十一世紀を目指して変革をはじめ、
ほぼ完成機の段階に入っている。
その成果の一つが中高一貫教育である。
「リベラルアーツ教育」を基礎作りに進めている。
❡1 入学試験
(一般入試)2月1日、2月3日
(科 目)国語、算数、理科、社会
(発 表)試験の翌日に校内掲示(受験番号) ※繰上合格あり
(要綱・願書)別紙
❡2 入試問題説明
1.社会
出題形式:地理・歴史・公民の三分野融合の大問一題
記号、語句、文章で答えを書く論述2~3問(350字程度)
方針:単問の解答を先に書くのではなく、まずは本文をしっかり読んでリード文全体
(4~5枚)を読んでほしい。三分野のいろいろなところに引っ掛かりが出てくるため、
全体でとらえることで問題へ取り組むことが可能になる。
論文のウェート:1.論理的思考力を試してみたい 2.入学後の授業への対応
社会Ⅰ、社会Ⅱ、社会Ⅲで論文作成をしていく基礎力を見る
いわゆる自由論述ではなく、複数の資料を組み合わせて論理的に説明したり、
学習してきた知識を提示資料と関連付けて考察する。
(参考)平成26年1問10
本文と系図を参考に「長屋王の追い詰め方」を210字の記述で書くことを、設問で示す方向でまとめていく。
対策:基礎的な知識・理解は必須。その上で、初見の資料を活用できる力をつけてもらいたい。
学習したこと、それだけがすべてだと思い込んだり、絶対的なこと
として固定的にとらえない「柔軟な思考力・理解力」を身につけてほしい。
採点:部分点をつける。問題に対して、しぶとく解いてほしい。単問では誤字・脱字
は減点するが、論述内でははなはだしい間違いを除き目をつむる。
2 理科(岩井教諭)
出題形式:生物・地学・化学・物理の四分野から大問をひとつづつ4問で構成。
ⅰ語句などの知識 ⅱ計算して値を答える ⅲ図やグラフを描くもの
ⅳ理由を文章で答えるもの(記述式)
方針:少なくとも最低限の知識は頭に入れておくこと。それらを踏まえて、問題文
に書かれていることをしっかり読んでもらい、図やグラフなどを活用して情報
を読み取ってほしい。
これらを併せて考え、整理し、文章にまとめるといった応用力を問うものも出題している。
ⅰ.問題文を丁寧に読む
→ 適当に読み飛ばすと出題者のヒントを見つけられない
ⅱ.図やグラフをよく見る
→ 初見のものでも表や図やグラフをてがかりによく見てほしい
ⅲ.設問を丁寧に読む
→ 何を問うているか、何を答えるべきか
ⅳ.解答は丁寧な字で書く
読めないものがある(丁寧に読んで、きちんと書く)
ⅴ.筋の通った意味の分かる文章を書くように
採点の仕様のないものがある
※頭に詰め込んだ知識をただ機械的に吐き出すだけの機械的な知識でなく、
意識を持って勉強してもらいたい。
・得た知識や身につけたものを使って、起きていることが何で、
どうしてそうなるのかを考える習慣をつけてほしい。
・ニュースや新聞などに取り上げられることに興味・関心を持ってほしい。
・普段の生活の中で、体験できることはたくさんするといったことが大切だと考えている。
体験はたくさんしてほしい(例 歩いている途中の木や草花、星空への興味・関心)。
理科の実験教室への参加を促すものではない。
過去の出題でも日本の気象衛星を問うているものがある(答 ひまわり)
2 算数(川崎教諭)
受験数学における<傾向と対策>を掲げた松岡文太郎(1861~1941)を数学科教員の始祖としている
ⅰ.一般入試における出題の理念
ⅱ.帰国生入試における出題理念
ⅲ.平成26年度一般入試①における合否の分かれ目
ⅳ.平成26年度一般入試②における合否の分かれ目
ⅴ.平成26年度帰国生入試における合否の分かれ目
ⅵ.よく頂く質問とその回答
前提としていること
将来に向けて深く数学を学習するに当たり、頑健な計算力を重視している
→ 小問集合をきちんと得点してほしい(正当な計算ルールを身につけてほしい)
加えて、数学学習で習得すべき大きな柱として
→ ⅰ.記述力 ⅱ.プレゼンテーション能力などを入学後養う(海城の教育を参照)
ⅰ.出題の理念
・計算力を基盤とした「解ききる力」を見たい
・受験のために学習してきたであろう事柄を幅広く見たい
→ 時間制限のある試験のため、運に左右される要素は極力排したい
・帰国生入試では、自分の意見を述べる訓練を積んできた生徒の表現力を見たい
ⅲ. 平成26年度一般入試1 大問4
意図:高さと量の二通りで表された水の増え方から底面積を求める問題
(1) 問題になれることを趣旨とした問題文を読み取れればきちんと解答できる
(2) (3)への誘導として設置、分かれ目の一つ
(3) 容器の高さによらず底面積が求まることに気づけるかどうか観察力を問うた問題
ⅳ. 平成26年度一般入試② 大問5(平面図形)
受験準備の段階で類題を経験していると思われる
計算ミスをしないように正確に計算できる力(合同な図形、相似な図形をさがして面積の計算など
工夫できるか否か、とりわけ思い込みで問題を解いていないか、
FCEは一直線上にあると見てはいけない)
ⅴ.平成26年度帰国生入試
記述式の問題。計算原理を問うた問題(面積図を使った説明、
問題を読み取る能力があるか否かを問うた問題)
入学後重視する面 観察→予想→予想の正しさの裏付けができるか
ⅵ. 質問とその回答
※答えだけを記入させる問題が多い理由
出題理念による
前提:頑健な計算力 記述力やプレゼンテーション能力は入学後涵養する
理念 計算力を基盤とした解ききる力、受験のために学習してきたであろう事柄を幅広く見たい
ⅰ.記述式にして完答はないものの部分点をかき集めて合格点に達するとしたとき、
出題理念の解ききる力に問題が生じる
ⅱ.食塩水の面積図などを記述式で用いる場合、
その図が意味するところをきちんと書いてもらうと少なくない時間を要する。
そういったことに時間をかけるよりも
受験のために学んできたことを十分に発揮できるように問題を多くする、
見直しに時間をかけられるようにしたい。
ⅲ.減点の要素を極力排したい
2. 国語(本間教諭)
出題形式:「説明的な文章」「文学的な文章」の二題を出題
それぞれボリュームのある文章であるが、「正確、且つ早く」大意を把握する力が必要
→ 当意即妙な要約力が大事(早く読み飛ばす)
方針:
ⅰ.説明的な文章
今私たちが生きているこの現代社会を考えるきっかけになる文章
「テーマ・論拠・主張」の三つが一セットになった文章
・筆者の「テーマ」設定に着目(どういう問題意識を持っているか)
・筆者の「立ち位置(どの立場からの主張)」に着目
・筆者の「武器(論拠)」に着目
※ある事象に対して、イエスなのかノーなのか、どの立場なのか鮮明にする
→ 自分と違う立場の人にも納得のいくような文章を書く
ⅱ.文学的な文章
・登場人物の内面の変化を丹念に追いかけた文章
・登場人物の「内面の変化」に着目
・その内面の変化に大きく影響を及ぼした「きっかけ」に着目
・主人公を軸として他の登場人物との「関係性」に着目
ⅲ.記述問題について
一定量の配点………みんな書けない……、だから……。
(逃げないメンタリティー)
(1) ヒントの有効利用
例.解答欄にあう形で
書き出しと結びが固定されることで、答えの骨格が予め示される。
例.キーワード(留意点)を与える
答えの方向性が示されることで、本文のどこに着目すればよいかわかる。
(2) とにかく訓練あるのみ
・美文・名文ではなく、分かりやすい文を心がけよう
→ 誤解のない文を書く訓練、読みやすい字を書く意識
・試験は答案を媒介としたコミュニケーションである
→ 相手に分かりやすく、使う字も同じ
(3) 漢字
書き中心の5題程度(文章の中で問う傾向)
文脈の中で問われてもかけるように、語彙力としての漢字
→ 文脈の中で使えることを目指す(記号として覚えない)
(4) 選択肢について
傍線部付近の近視眼的な読みでは不十分
文章全体の構造を意識した読みが必要
長い選択肢もあり
→ 各選択肢自体の解釈も大切に
❡3 学校概説(沿革・建学の精神・現在の特長)
追い求めるもの → 人類・社会に有為な人材(学力・人間力)
リベラルでフェアな精神をもった「新しい紳士」
大学進学率(現役 63.9%) 45/269(16.7%)、20/165(12.1%)
リベラリズム(自由主義)+公正(フェアネス)→公正基底的リベラリズム
↓
自らの自由意志
↓
幸せへの選択・実行・実現
※立場を変えたときに受け入れないことをよしとしない<公正としての正義>
大学入試への対応
ⅰ.2021(平成33)年度大学入試より実施か → 現小6から開始
ⅱ.到達度テスト(基礎レヴェル)の実施
教科型、知識量とその活用
ⅲ.到達度テスト(発展レヴェル)の実施
「合教科・科目型」「総合型」 → 教科枠を超えた知識の活用
ⅳ.各大学による個別試験
面接、論文、在学時の活動などにより能力、意欲、適正を多面的・総合的に見る
リベラルアーツの実現 → 七年後の国内大学の入試につながっていく
(中3の段階で身につける)
第三段階の改革
・帰国性の受け入れ
・グローバル教育部の設置
→ 共生教育の一層の充実、グローバル人材を本格的に意識
欧米型(アメリカ型)の入試に向かう
・海外大学進学の支援
・リベラルアーツ教育の充実
・帰国生支援
・英語教育の促進
・海外研修の充実
・在学生の留学支援