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ノア式予習シリーズ学習法 5年国語 5年下第18回基本問題 問十解説

【問十】
 
問題文には「この作品の〈評〉」とありますので、
 
この作品で作者が訴えかけたかったものは何かを考えます。
 
選択肢ひとつひとつをていねいに読み、
 
作品の内容と一致しているかどうか考えましょう。
 
ア ×
 
選択肢には「徐々に母の死という現実を理解してゆく過程」とあります。
 
しかし、物語の最後、81行目から83行目
 
「少年は、きっとその中に母がいると思ったが、母はいなくて、
 
祖父や祖母や、それから母のところに来ていた医者たちが
 
自分をみつめているのに気づいた。」とあります。
 
この描写から少年は現実に引き戻されますが、
 
「母の死という現実を理解」するまでには至っていないことがわかります。
 
ウ ×
 
選択肢には、「題名通り「童話」の世界を思わせる。」とありますが、
 
この作品の中で描かれているのは、母と子の絆、
 
まだ「死」を理解していない少年と母との死別を描いた極めて現実的な内容です。
 
エ ×
 
選択肢には「少年の半ば自暴自棄な心理と行動」とあります。
 
「自暴自棄」とは「失望のため、投げやりな行動をとること」を意味します。
 
柿の木から飛び降りた少年の行動は自暴自棄でしょうか。
 
これは、幼い少年が母に会いたい一心で考えた行動であって、
 
自暴自棄になったわけではありません。
 
イ ○
 
「母のいるあの世へ行ってみたくなった。」という一心で
 
「柿の木から落ちてみよう。」と思い実際に飛び降りてしまう少年の行動は一見、
 
非現実的ではありますが、これは「死」を理解できずにいる
 
無邪気な幼さによるものです。
 
このような少年の幼さを具体的に描くことにより、
 
これが「母の死」という現実と対比され、
 
少年の母を一心に思う気持ちから生まれる
 
寂しさや悲しみが読者にも伝わってきます。
 
 
答え: イ